2013年1月22日火曜日

第10回 「ものが売れない」への悪循環


l         最近、日本の中で「若者の○○離れ」「ものが売れない」という話をよく聞く。もちろん経済的成長の鈍化を背景にした心理的変化もあるだろうが、製造業における技術開発の変化も物が売れなくなった一因になっているのかもしれない、という仮説を立ててみたい。

l       『イノベーションのジレンマ』はクレイトン・クリステンセンが著した説明の必要のないほど有名な本である。技術開発のスピードが高まる一方、人間の能力は大して変わらないので、性能向上が顧客の要求を容易に上回ってしまう、この領域の性能向上は製品の競争力に貢献していない、そこで性能を落として低価格にした製品をコンペチタ―が投入、市場を奪うといったことが起きている。良企業は持続的イノベーションに目を奪われがちで、こうした新興勢力に無関心であるといった内容だ。

l         前回まで説明をしてきた急進する技術改革は、商品のライフサイクルを短くし、デジタル化はモジュール化による技術拡散を容易にした。コストダウンが求められ、開発期間は短くされ、製造業はいやおうなくOEM/ODMなどの水平分業モデルへ移行してきた。水平分業の目指すところは「同じもの(規格品)の大量生産」である。

l         このサイクルは「モノの個性をなくす」ことに大きく貢献する。なんといっても規格品だ。みんな同じなのだ。この画一化傾向が顧客の購買意欲をそぎ、その結果ますます開発費をかけられなくなり、画一化の度合いを増すといった、物が売れないネガティブ・スパイラルが進行しているように思われて仕方ない。


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