2013年3月17日日曜日

第24回 日本人の「道具」感


20回 「労働集約型産業の歴史」で書いたように日本の産業は資本節約・労働集約型として発展してきた。もう一つ大事な視点は「技術」をどう考えているのか、いかに利用しようとしているのか、というポイントである。民俗学者の川田順造による著書『もうひとつの日本への旅―モノとワザの原点を探る』にこのような記述がある。

  • 西洋の「二重の意味での人間非依存性」
  • 個々の人間の巧みさに頼らず、誰がやっても同じよい結果が得られるように道具を工夫する
  • できるだけ人間の力を使わず、畜力や風水力を利用してより大きな結果を得ようとする
  • 日本の「二重の意味での人間依存性」
  • 簡単な道具を人間の巧みさで多目的に効率よく使いこなす
  • よりよい結果を得るために惜しみなく人力を投入する
川田順造はロクロの回転方向や、鋸や鉋を押して使うのか引いて使うのか、などを民族学的に考察して上記の結論を見出したようであるが、これは現代の日本の産業においてもこの「二重の意味での人間依存」の傾向があると思うのだ。例えばCAD(computer aided design)の導入など、欧米に比べて10年ほども遅れた業界もあるそうである。

第19回 「日本の『勤勉革命』」では、日本の風土に起因する農業の必然として「人力を多量に投入しないと成り立たない農業スタイル(資本節約・労働集約型)」があるとしたのだが、その農業のスタイルが21世紀の日本の技術の捉え方に影響を与えている可能性もあるのだ。

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